1.パソコンLANとクライアントサーバ型システムの普及
1980年代以降、従来ではオフィスコンピュータと端末機で行っていた企業の業務処理を、パソコンを複数台接続したLAN(Local Area Network)によって置き換える様式が一般化してきました。いわゆる「ダウンサイジング」と呼ばれるこの流れは、現在に至っても様々な業種・業態のシステムにおいて主流となっています。 |
 
 
図1.クライアントサーバ型システムの概念図
(データはサーバで管理されますが、システムはクライアント側で実行されます。) |
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パソコンネットワークを利用したインフラの代表的なものが「クライアントサーバ型」と呼ばれるものです(図1参照)。これは、システムのプログラムやデータをサーバに置き、同一ネットワーク上のパソコン(クライアント)の要求によりサーバからサービスが提供されるものです。プログラムやデータは全てサーバで一元管理されますが、集計・計算などの処理は各クライアントのCPUで行われるため、効率的なパソコン利用が出来ます(これが分散処理と呼ばれるものです)。ビー・フラットでもdbMAGICを利用して開発したシステムはほとんどが「クライアントサーバ型」ネットワークシステムです。
2.クライアントサーバ型システムの問題点
受注入力・伝票発行・請求書発行‥等様々な部署で複数台のパソコンが必要になる企業の業務システムには「クライアントサーバ型」はそのメリットが活かせる最適なインフラであるといえますが問題点もあります。
それは、サーバ⇔クライアント間のトラフィック(データ流通量)です。サーバで管理しているデータをクライアントで処理し、その結果をまたサーバに書き込むため、サーバとクライアント間には膨大な量のデータが流れます。このため、同一事務所内のネットワーク環境下で、直接LANケーブルで接続されていればまず問題ないのですが、離れた事務所からの接続(WAN:Wide
Area Network)になると、通信速度の速い(太い)回線でないとレスポンスが悪くなってしまうのです。ビー・フラットニュース2005年10月号で取り上げた「インターネットVPN」等を利用するにしても、接続台数が多くなるとどんどん反応は鈍くなって行きます。
3.メタフレームとは?
サーバ⇔クライアント間のトラフィックを減らし、WAN環境下でも快適なレスポンスを実現する概念が、SBC(Server Based Computing)と呼ばれるものです。これは、クライアントでシステムを動作させるのではなく、サーバで処理をさせその結果をクライアントへ配信させるものです。その代表的なものが「メタフレーム(Meta
Frame)」です。メタフレームを導入して業務処理を行う場合の流れを下図(図2)の例で説明します。
サーバはDBサーバ(データを管理するサーバ)とAPサーバ(アプリケーションを実行するサーバ)の最低2台必要になります。
@システムを操作するのはあくまでクライアントです。利用者は「クライアントサーバ型」のシステムと同じようにクライアントのキーボードやマウスを使って操作します。
A上記で入力されたキーボード情報によりAPサーバ上でアプリケーションが動作します。この際、クライアントからAPサーバへ流れる情報はキーボード情報だけです。
BAPサーバで動作するアプリケーションはDBサーバのデータを利用し、集計・計算等の処理を行います。そしてその結果もDBサーバに書き込まれます。
C上記処理の結果はクライアントの画面に表示されます。この際、クライアントへ転送されるデータは画面データのみで、しかも更新のあった「差分」のみのデータなのでトラフィックは非常に少ないものになっています。
4.メタフレーム導入のメリット
(1)離れた拠点でも快適なレスポンス
メタフレームを採用することでシステム利用時のサーバ⇔クライアント間のトラフィックは激減し、WAN環境下でも快適にシステム利用できます。例えば、東京や大阪の営業所から、名古屋本社の在庫データを参照したり、受注を入力したりすることが本社と全く同じようなレスポンスで出来るのです。
(2)異機種コンピューティングの実現、既存資産の有効活用
メタフレームは、クライアント側の機種、バージョンを問いません。Windowsでは、95、98、NT、2000、ME、XPといったバージョンが全てOKなのはもちろん、MACでも動作します。また、システムの処理速度はAPサーバの性能に依存しますので、機能の低い古いパソコンでも快適にシステムが利用出来ます。
(3)運用管理業務の軽減
メタフレームの導入により、システム管理の中心はAPサーバになります。一回だけクライアントにメタフレームをインストールすれば、その後のシステムバージョンアップやメンテナンスはAPサーバにだけ行えばよいので、各クライアント側での運用管理業務は激減します。
ビー・フラットでは昨年から特にWAN接続が必要なお客様向けにこのメタフレームを導入してきました。実際に導入してからもトラブルはほとんど無く、お薦めできる技術です。お問い合わせ・ご質問等ございましたら、お気軽にご連絡下さい。 |
  
  
図2.MetaFrame概要図 |
<熊澤 鉄郎> |