これは、個人事業者が法人形態をとれば、オーナー社長の役員報酬について、法人段階で損金となり、さらに個人の給与所得の計算上、給与所得控除ができるという「経費の二重控除」を防ぐのを目的としています。
「実質一人会社」とは、「同族関係者で株式の90%以上保有し、かつ、常務に従事する役員の過半を占める会社」を言います。したがって、1人で出資し、1人で取締役をしている場合はもちろんのこと、家族がほとんどを出資して役員の大半をも占めている会社は、これに該当することになります。結果的に大半の中小企業が該当することになります。
2.適用除外になるのは低収益な法人
しかし次のような低収益な会社は、この規制の適用除外となります。
< 適用除外になる2つの場合 >
@法人の所得と社長報酬の合計額の3年間の平均額が800万円以下の場合
Aその平均額が3000万円以下で、その内、社長報酬割合が50%以下の場合
3.安易な課税逃れは要注意
上記の適用除外のボーダーライン付近の会社は、その事業年度の決算の所得によって適用が変化するという不安定な状況に置かれることになります。したがって、税務上の安定性のためには、事前に「実質一人会社」から外れるような方策を考えた方がよいことになります。つまり、同族関係者以外に10%以上の株を持ってもらうとか、常務を行う役員として、同族関係者以外の人に半数は入ってもらうとかです。(右上挿絵参照)
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