ちょっと前に家人がお値打ちメモリーカードをネットオークションで落札したが、物が送られて来なかった。サギに遭ったのだ。警察に届けたのだがそれっきりだ。身近で実際サギに遭ったのは初めてだったので、そんな事もあるのだと思っていたら、私自身も当たってしまった。
しばらく前からアンティークの腕時計に魅せられていて、70年代のキングセイコーをネットオークションで買った。良い物でお値打ちだった。次にアンティーク専門店で50年代のΩのシーマスターを買った。もちろん本物で良い物だが、それなりの値段はする。やっぱりネットオークションの方が安い。その次に50年代のコンステレーションをネットで買った。おそるおそる専門店へ持ち込んで鑑定とオーバーホールを依頼したら本物とのこと。かなりお値打ちだった。調子に乗って次に50年代のジラールペルゴとシーマスターを買った。同じく鑑定してもらったら両方共に竜頭、文字盤など大幅に変更がされていてオリジナルの価値はないとのこと。個人のコレクション処分のふれこみで出されたものを落としたのだが、出品者が悪意だったのかどうかは分からない。現状渡しが原則なのでニセモノのつかみ損だ。
今までもゴルフクラブやカメラなど、かなりネットオークションで買い物をしてきて満足して安心しきっていたのでがっくりきたが、専門店のおやじによるとオークションに出ているアンティーク時計はニセモノが多くて他にも随分やられているらしい。ゲーム感覚で欲しい物が安く買えるとか、主婦が片手間で何十万儲かったとかいい事ずくめで、まさにインターネットオークション花盛りだ。実際私も大いに楽しんできた口だが(私は買う一方)良く考えるとネットオークションは戦後の闇市みたいなもので華やかで楽しいけれど、またいかがわしさもプンプンで闇屋やサギ師がうようよしている怪しい世界でもあるようだ。だまされるのも楽しみのうちと承知してやっていればよいが(思いがけない掘り出し物にあたったり、思わず高値で売れたりもあるようだし)ほどほどの金額でお楽しみをということか。
インターネットオークションはインターネットの持つ特性、利便性と欠点が典型的に現れた例だと思う。利点を殺さず信頼性を上げる仕組み作りが胴元(ヤフー)に求められる。 <佐藤 文弘>
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