弊社創業メンバーの何人かは、私を含めて名古屋レジホンセンターの残党である。レジホンは20年程前に企図されたネットワーク型のPOSシステムで、店のPOSレジを電話回線でレジホンセンターにつないで、データ処理を行うという仕組みだった。零細、中小小売業でも、本格的POSシステムを比較的安価なPOSレジを買うだけで導入でき、面倒なマスターメンテナンスや情報処理は全てセンターが行うので手間いらずといういい事ずくめのシステムだ。ファルマの阪さんが主導しCSKの大川さんがバックアップをしたので全国に30数カ所のセンターができて、営業活動を行った。はじめは薬局中心に、のちにコンビニ、食品スーパー導入を目指した。一時はかなり普及し始めたが経営不振による内紛などもあって、結局軌道にのらなかった。 当時はセブンイレブンに代表される先進的小売業がPOSシステムによる効率経営を行い、POS導入の必要性が言われたが、中小零細小売業にとってPOSは高嶺の花で夢のまた夢だった。 レジホンはまさに理想的なシステムに思えた。それがなぜ上手くいかなかったのか。@データが紙で送られてくるので(FAXと郵送)使い勝手が悪い。A費用負担が重い。(薬局、CVSで8〜10万円/月、小規模スーパーで20〜30万円/月)B汎用システム,各業態相乗りなので個別ニーズに応えられない。以上が重要な欠点だったと思う。 センター経営が赤字だったのは、そもそもセンター運用費用と営業費用が機器販売と運用収入でまかなえないビジネスモデルに問題があったからだ。 20年前のAS400+公衆回線+専用端末というインフラではすばらしいコンセプトに対してパフォーマンスが実現できなかった。では現在のインフラ、サーバークライアントシステム+高速大容量回線+PCレジを使ったらレジホンの夢は実現できるのだろうか。POSの効用は@売れ筋の欠品をなくすA死に筋の排除B顧客特性と購買行動の把握の三点につきる。POSデータで日々の商品コントロールをして効率的な経営を行う。マーケティングやマーチャンダイジングを計数に基づいて行う。POSシステムを導入しても、企業側に企画力計画力がなかったり、商品オペレーション力、人材がかけていれば当然成果は出ない。 レジホンが普及しなかった理由をつきつめると、使う側にノウハウがないか効果に対して費用がかかりすぎたのかどちらかだった。前者は技術の進歩で解決できないが、後者は今日解決可能だ。 今日ではレジホンの費用のうち店側の費用を1/2〜1/3、センター側は設備,運用コスト共にやはり1/2〜1/3にできる。 今は当時の半分以下のコストではるかに使い勝手の良いシステムが提供できる。弊社は従来より、数社にPOSシステムを提供している。レジホンで学んだノウハウを生かした優れたシステムでお客様の業界での評価は高い。能力的にもコスト面でもPOSメーカーのシステムをはるかに陵駕している。 ある意味ではレジホンの夢を実現できたのだが、弊社のシステムを生かすのにはある程度の企業規模が必要で、一店からでもというレジホンの夢の一部しか実現できていない。 さてレジホン型のPOSセンターを今やったら上手くいくだろうか。 <佐藤 文弘> |
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