今回は中小企業が創業後成長してある大きさになったら必ず直面する問題、「管理部門(総務、経理、人事、経営管理など)をどうしたらよいか」について考えてみたい。 企業は理念と行動力を持った経営者が、強い商品、営業力、顧客サービス、やる気のある社員に恵まれればスイッと成長する。ところがある時期ある大きさになると、今まで上手くいっていた事があちこちで上手くいかなくなってしまう。 例えば@受注が生産部門に伝わらない為、あるいは部品の手配が一部滞り納期が遅れる、A顧客のクレームにキチッと対応できない為取引できなくなる、B売上は順調だが急に資金が足りなくなる。(回収が十分出来なかったり、商品や部品の在庫が偏り不良在庫化していたため)、等。その結果、社長は未経験のトラブルに遭遇して頭を抱えることになる。 そこで管理体制をしっかりしなければということになる。といって社内に人材がいるわけでもないので、大企業の管理部門経験者、銀行出身者を迎えることになる。それは当然だし上手くいくことが多いのだが、ややもすると大企業病も一緒に輸入することになる。 大企業病とは現業部門が物事を進める為に社内で様々な手続き(稟議、社内会議、根回し、果ては社内接待など)を延々と行わなければなかなか決定できないことで、特に管理部門が実質的に決定権を持つとある意味の特権階級化してしまう。社内で仕事のエネルギーがおおかた消耗してしまう。また万事形式主義的仕事のやり方になりがちだ。 中小企業の良さはトップと現場が近く意志決定と行動のスピードがあることで、悪い意味で管理部門が強化されるとその良さが殺されてしまう。 大企業病がはびこると、次の様なことが起こる。意志決定のスピードが遅くなる。何事も会議を開かないと決まらない。過剰な管理組織と管理費、生え抜きの若手がやる気を失う。形式的な書類仕事が増える。等々。 管理部門の本来の仕事は、商品開発、生産販売など企業の本質的仕事が各組織を横断して、効率的に無駄なくミスなく行われ、顧客サービスの質を向上させるようにすることにある。あくまで社内へのサービスサポート業務であり、黒子的役割であるべきだ。企業は商品開発、生産と営業が車の両輪で、管理部門はサポート役だ。 必要最小限の人員、組織、権限で構成するのが良い。 <佐藤 文弘> |
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