本誌99年7月号でも採り上げた株式会社ブロッコリー様(本社;東京/従業員;106名/売上高;65億7300万円/店舗数;14)は、アニメやゲームのキャラクターグッズを製造、販売している会社です。この9月には設立8年目にしてジャスダック市場に株式を公開された伸び盛りの会社です。3年ほど前にビー・フラットで基幹システムを導入しましたが、株式公開に合わせてシステムをリニューアル、グレードアップしました。主なポイントは以下の通りです。

1.システムの特徴

(1)POSレジ専用機との連携
新システムでは、店舗レジ機として富士通の「TP2000」(写真参照)を採用しました。写真の通りよく見かける「レジ機」なのですが、実はOSとしてWindowsNTが動いている「パソコン」なのです。レジ専用機ではありますが実体はパソコンなので、当然パソコンで構築するシステムとの相性は抜群で、ネットワーク上はひとつの入力端末としてLAN上に存在しています。

(2)全店舗が本部に常時接続
店舗ではレジと同一LAN上にノートパソコンを設置し売上管理以外に必要な仕入管理・在庫管理などを行っています。店舗⇔本社間は富士通のビジネスIPサービス(専用線みたいなもの)で常時接続されており、ノートパソコンに入力したデータや精算後のPOSレジの売上データは店舗内のNTサーバーの制御により本部のNTサーバーに書き込まれます。

(3)100%Windows対応プログラム
本部システム及び店舗のレジ以外のシステムは開発言語として「dbMAGIC Ver8」を採用しました。この開発言語は100%Windows対応のプログラムで、今までのDOS版のプログラム(Ver4)で得られなかった様々なWindowsのメリットが得られる様になりました。

一見普通のレジですが、実はWindowsパソコン。レジの横にはノートパソコン。仕入入力や在庫照会、ノーツ等に利用しています。
2.新システムのメリット

(1)店舗でのレジ待ち時間が少なくなった
ブロッコリー様の運営する店舗「ゲーマーズ」には、多いときで1日にレジ1台あたり500名程の来店があります。以前のPCレジだと伝票印刷に時間がかかりお客様を待たせることがありましたが、レジ専用機を採用したことでスムーズに売上業務をすることが出来るようになりました。また、レジ専用機なのでオペレーションもシンプルで新人アルバイトにも操作ミスの心配が少なくなりました。

(2)リアルタイムに本部在庫が参照できる
常時接続のビジネスIPサービスを導入することでデータの一元管理が可能になりました。これによりリアルタイムで店舗から本部や他店在庫の照会が出来るようになり、その状況を見て店舗側では本部に発注したり他店に商品移動の依頼をすることが出来るようになりました。またブロッコリー様では従来から日報などの文章データベースを「ノーツ」を使って全社で共有していますが、このネットワークを使えるようになって、データのやりとりがスムーズに行くようになりました。

(3)Windows機能の利用で操作性が向上した
「dbMAGIC Ver8」は完全Windows準拠のプログラムなので、システムの操作画面もエクセルやワードのようなWindowsアプリケーションと同じ感覚で操作できます。今までは画面を切り替えないと表示できなかった様々な情報が1画面の中に納まり、豊富な参照機能を持たせることが出来るようになりました。また、データ入力時も最新の「MS−IME」や「ATOK」等の日本語変換システムを使うことが出来るようになり顧客や商品マスター登録等の処理時間を大幅に短縮することが出来ました。印刷物の制限が緩和されたことも大きなメリットです。MSDOSでは制御しきれなかった各種プリンタの設定をWindowsの基本機能として行ってくれるので、今まで出来なかった多機種下での印刷設定も出来るようになりました。 最近のパソコンは基本ソフトにWindowsが動作することが前提で設計されています。そのWindowsに完全対応したことで、将来にわたって安心してシステムを利用できるだけでなくインターネットとの連携をも視野に入れた発展性のあるシステムを構築することが出来ました。

<熊澤 鉄郎>

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