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「会社を自由に切ったり、くっつけたり出来るように、商法が改正されました。」誤解を恐れずに言えば、こういうことです。もう少し詳しく言えば会社分割、合併、持ち株会社化などが随分自由に出来るようになってきたのです。
商法改正と言うと一般の中小企業に余り関係のないことのように思われますが、少なくとも伸び盛りの会社にとっては近年の商法改正は目が離せないものになっています。 そして、業績が芳しくない分野があるものの、片や有望な分野を抱えている会社にとっても商法改正は注目すべきものになっています。 今回は、いつものテーマから離れて、商法の動向を経営者としてどう押さえておくかという視点でお話しましょう。 商法は六法の内のひとつで民法と並んで私法の基本法です。良い悪いは別にして、一般に基本法は頻繁に改正されないものです。憲法は制定以来、一度たりとも改正されていませんし、民法・刑法・民事訴訟法・刑事訴訟法も忘れた頃に、と言った程度の間隔での改正です。商法はビジネスに携わる者にとって不可欠な基本法ですが、この改正は近年頻繁です。平成になってからは特に顕著で以下ざっと並べますが内容は分からなくて結構です。 平成2年に最低資本金制度、一人会社許容など。平成5年に監査役任期延長。平成6年に自己株式取得制限緩和。平成9年に合併法制、ストックオプション。平成11年に株式交換・株式移転法制。平成12年に会社分割。そして今年に金庫株解禁、1株純資産額引き下げなど。さらに来年には額面株廃止など10項目ほどの改正、来年以降にはトラキングストックや株式のペーパレス化や口語化(平成16年頃)と続きそうです。 ここ数年は会社再編の改正が相次ぎました。また商法改正の成否を分ける税法改正が本年4月に抜本的になされたため商法の使い勝手が随分良くなりました。そのため、4月以降、会社分割などの再編が立て続きに起こりました。 そこで中小零細会社の経営者は、詳しい法令は専門家に任せるとして、それをどう見ればいいのか。それは今までのように会社を興したら潰れるまで営々と只、製品を作って売る、商品を仕入れて売るだけに留まらず、事業全体を見据えて何を事業とするかを常々怠りなく確認することです。つまり工場長や仕入部長そして営業・販売部長から脱皮して、「経営者」たることです。ある事業が将来性を見込めなく成った時には、その事業を分離、分社などして売却するなり民事再生(商法の特別法の民事再生法)をかける。あるいは見込みのある事業を1から育てるのでは経営速度が遅いからM&A(合併・買収)で自社に取り入れる。複数の会社経営をしているのであれば、その効率化のために株式交換制度を利用して持ち株会社を設立する。こうして、会社を切ったり、くっつけたりして行く"目"を「まずは養うこと」です。 <牧口 晴一> |
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