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Q 近頃「税効果会計」って、よく聞くんですが…我社も税金が安くなるんだったら採用したいんですが。
A まず、最初にズバリ言っておきましょう。税効果会計を採用しても税金は安くなりません。 税効果会計とは「税金の影響、つまり効果を会計の上で明らかにする会計の方法」のことです。

Q 大企業しか強制されないとも聞いたのですが…
A 確かに強制は今年の3月期決算の大企業からだけですが、予想するに非公開の中堅・中小企業や、それ以下の企業にも実質的に採用を検討していく方向でないと時流に遅れると思います。今回、従来のキャッシュフロー会計の話しを変更して税効果会計のお話にしたのも、そんな背景があります。

Q 確かに世の中、グローバルスタンダードとかディファクトスタンダートとか言って、あっという間に大多数の勢力の方法で、結果的に強制されてしまいますからね…
A ですから株式公開とかを考えているベンチャー企業も真剣に検討すべきでしょう。

Q なるほど。ところで、その内容のことですが我社の場合、決算の時に税理士に決算の説明をしてもらうんですが、いつも最後の税金のところで、何かゴチャゴチャとしていて、分からなくなっちゃうんですが、関係ありますか?
A 大いに関係します。その時どんな説明を聞きましたか?

Q 確か税理士が言うには「これは今年の税金だが、来年納めるから、来年の損金にする」とか「去年の税金だけど、今年納めてたから今年の損金だ」とか聞きました。
A 分かりました。いつも発生主義という、費用や収益は発生した時に計上する方法で経理してきたのに、さっきの話しですと、発生した時ではなく現金で納付した時、つまり現金主義に戻っているじゃないか?と疑問にもたれた訳ですね。

Q そう!そうです!かと言って別の箇所では「今年の分の法人税は、来年度納めるが今年の経費になる。しかし法人税は損金にならないから、今年の所得に加算する」とか言われ、この辺りでギブアップですわ!
A なるほど。ここで整理してみますと今のお話は法人税のことで、先程のお話は事業税のことになります。

難しい話しは省略しまして、実務の上で最も関係する事業税に絞ってお話ししたいと思います。法人税と事業税は課税技術の上で税法の上で異なる扱いをしています。非常に荒っぽい言い方をすれば法人税は発生主義、事業税は現金主義というのが「税法」の考え方。これに対して近年、投資家の勢力が増大して、投資家が投資の判断材料である決算書が、本当は今年の経費である事業税が来年の経費になっているのでは分かり難いということで、「会計」の考え方である法人税も事業税も共に企業活動の費用だから、発生主義で統一して同じ年度に計上することを要求してきました。税務上の決算書と会計上の決算書と2つ作るのは面倒ですから、1つの決算書に事業税も発生主義で載せることにして、これによって税金が将来いくら増減するかが分かる表示をするように調整をはかったわけです。     

<牧口 晴一>



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